地形、土壌、虫や鳥などの生き物たち。
環境を活かし、環境に生かされながら
私たちは、農業をしています。
有機農業は、農薬を使わないため
自分たちにとって
安心安全な価値があるのと同時に
環境にとっても優しいものであり
そして、未来にとっても重要なことです。
この循環農業が、また美味しい野菜を生みます。
形は悪いかもしれませんが
有機農業で育てた野菜が特別なものではなく
身近に手にとってもらえるものに
なっていって欲しいです。
田下さんのつくる有機農業で育てた野菜の
美味しさの秘密を教えてください
埼玉県小川町は、化学肥料や農薬にたよらず
自然の力をかりた、有機農業が盛んで
「有機農業の里」とも言われています。
夏は暑く、冬は寒い。
昼夜の寒暖差が大きい。
この自然に囲まれた「小川町の環境」が
野菜が甘くなり、美味しくなる理由です。
山から川へ押し流された、重たい土からなる土壌なので
野菜の肌表面がデコボコしてしまいますが
ミネラルが豊富な、美味しい野菜に育ちます。
田下さんの考える
「有機農業」について教えてください。
私たちは、農薬は使いません。
虫が大量発生してしまったら、もう諦めるしかないんです。
ですから、「虫が出ないようにするにはどうすればいいか」
色々と方法を考え、先行対策をしています。
たとえば「バンカープランツ」という方法ですと
害虫が発生する前に
害虫の天敵を増やしたり、温存する植物を
わざと畑の周りに植えつけ
天敵が害虫を捕食することで、害虫の発生を防いだりします。
そういう工夫をすることで、環境にも優しく
私たちにとっても安全で、
美味しい野菜づくりが可能になるんです。
風の丘ファームについて
教えてください
農業をはじめて、もうすぐ40年になります。
妻、社員、パートさん、研修スタッフと力を合わせ
6haの農地の中で、
年間80種以上の野菜を育てています。
直接バイクで来て買い付けをしてくれる飲食店の方や
FAXではなく、
わざわざお電話で注文をしてくれる方もいて
大変ありがたいかぎりです。
お客様の声を聞き、リクエストにお答えしながら
野菜の品目も年々増えています。
こうしたコミュニケーションを大切にし
小規模で循環していく、完結する有機農業を
これからも続けていきたいと思います。
山から集めた落ち葉を発酵させ、その発酵熱を苗作りに利用し、発酵を終えた堆肥をしっかり熟成させ、寒さや風、乾燥などの悪条件に負けない苗作りをしています。畑では、食品残渣を使った発酵堆肥を使用して、環境に配慮した安全な野菜作りを行っています。
海外に比べ日本は、有機農業の取り組みが出遅れていますが、農地比率を2025年までに、現在の0.5%から25%にまで引き上げる目標を農水省が掲げました。私たちは環境にとっても未来の我々にとっても、有機農業がいかに大切なのかを感じてもらえるよう努力していきたいです。
暑い日にはみずみずしく、寒い時期には身体があったまるお野菜を。我々は四季の中で生きていますから、身体が自然と旬のモノを求めていると思います。ただ塩を振って焼いただけでも、十分に旬のお野菜は美味しいですから、ぜひ旬を楽しみながらお野菜を味わってください。
農業研修後、一時は東京の物流会社に務めるも、
埼玉県小川町の霜里農場で有機農業を学び、就農。
2008年夫婦で株式会社風の丘ファームを設立。
飲食店や一般消費者に向けて
年間80品目もの野菜を栽培する。